メンバーお勧め本

2016年1月 9日 (土)

参考文献 『アイルランド紀行』 栩木伸明著 中公新書

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今回イェイツ詩集を初めて読んでみました。
イメージが掴めません。そりゃあそうです。 アイルランドをさほど知りません。
イギリスと支配関係、アイリッシュダンス、 どれも適当な知識ばかりでした。
もう少しアイルランドを知りましょうと手にした本書。これがまた面白かったのです。

北海道より少し大きいくらいの島に、名だたる文学者がいました。
音楽家も有名どこ ろが満載です。
イギリスから虐げられた歴史が闘争の言葉を生んでいたのですね。

ビール、ギネスの故郷でもあります。
う~ん。ビール以外は美味しい物がなさそうなのが残念なところですが。

太古の神話が息づいているところにも注目です。
ケルトの神々が今も生きています。大きな十字架などが目に浮かびます。
八百万の 神々と共に暮らしてきた日本との共通点も見つけられそうですね。
映画の舞台、撮影現場ともなる厳しく美しい風景は、一度訪れてみたくなります。
国民的詩人イェイツにまつわる歴史も盛りだく さんで、
旅行書としても楽しめる魅力的な内容です。

9/10月のメンバーお勧め本

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コミチさんおすすめ
漱石の倫敦、ハワードのロンドン 東 秀紀著 中公新書

1900年前後の2年間、イギリスはロンドンに留学した夏目漱石について、
多くの参考文献をもとに描かれている。
当時、ロンドンの環境は近代の合理主義が生み出したものに汚染されていた。
それでも漱石は古き良き時代(ビクトリア朝)の文化をもとめてロンドンをさまよう。
ちょうど、その頃、高等教育を受けたわけでも、建築科の勉強をもしたわけでもない、
下層中産階級のエベネザー・ハワードという、
自称社会改革者がロンドンの田園都市構想を考えて、実行しようしていた……。
漱石の『私の個人主義』がイギリスの自由と秩序を尊ぶ国のあり方と無関係ではなく、
ハワードが田園都市計画を実践する第一歩を進んだこととも
無関係でなかったと考えられる。
若者の論述の巧みさによって、難解な事情も理解できるすばらしい学問書である。
一読をおすすめします。

9/10月のメンバーお勧め本

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エンゾさんおすすめ
この世でいちばん大事なカネの話 西原理恵子著 理論者YA新書

著者のお金にまつわる自伝的エッセー。
「貧乏は病気だ。それも、どうあがいても治らない不治の病だ」
冒頭からズシンときます。
貧乏であった少女期、高校退学から養父の自殺、上京の下りは圧倒されます。
病から抜け出そうとして、一か八かの大手術に臨む覚悟の凄まじさを感じました。
進むか残るか、家族とともに滅びるか、切るか、
まさに生存を賭けた闘いだと思いました。
前に進むにも、重いほどの痛みを背負い、死にものぐるいで働くしかありません。
世の中は不公平です。それに憤っても仕方がありません。
食べるためには稼がなくちゃいけないのです。
収入が旦那より増えれば、それもまた不幸を呼び寄せてしまいます。
お金って、ありすぎても幸せになれず、なかったら生きていはいけません。
ちょうど頃合いは難しいものです。
著者ならではの語り口を堪能しつつ、お金についてしみじみと考えさせられました。

9/10月のメンバーお勧め本

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エンゾさんおすすめ
犬身 松浦理英子著 朝日文庫

犬ってどういう存在? と尋ねられたことがあります。
人の心に開いている穴を埋めてくれる生物です、と答えました。
好き同士で生涯繋がっていける関係はそうそうありません。
人間同士だと難しいのですが、犬となら可能に思えます。
犬の特性を見事に捉えて、犬になって好きな人に寄り添い続けるという
小説を生み出した松浦理恵子さん。
毎回センセーショナルな物語を読ませてくれます。
愛のカタチはまこに様々だと、再確認。
「種同一障害」の主人公が、人から犬に変身します。
本当のところは分かりませんが、犬になったような気分を味わいました。

9/10月のメンバーお勧め本

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アコさんおすすめ
無花果の森 小池真理子著 新潮文庫

夫のDVに耐えかねて家を飛び出した主人公の泉は、
老女性画家の家政婦として働くことになります。
追い詰められ人生は絶望した男と出会い、二人は惹かれ合います。
恋愛小説の名手、小池真理子がしっとりと描く、愛と人生の再生物語。
無花果は大きな葉と果実しか目立つことはありません。
では。果実を実のらせる花はどこに咲いているのでしょう。
花は果実の中にひっそりと咲いているんです。隠されるようにして。
この花のイメージを軸にして、それぞれが愛を育んでいきます。
対照的な男性二人の対比も考えさせられました。
映画化もされています。観たくなりました。

2016年1月 8日 (金)

9/10月のメンバーお勧め本

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アコさんおすすめ
置かれた場所で咲きなさい 渡辺和子著 幻冬舎出版

思い描いた修道院生活とは違うことに失望し、
辞めようと追い詰められた著者に手渡された一編の詩。
Bloom where God has planted you.
置かれたところこそが、今のあなたの居場所なのです。
咲けない時は、根を下へ下へと降ろしましょう。
そこから自分の至らなさを自覚し、
前向きに真摯に生きていくことを考え直した教えでした。
癒やされ勇気づけられる一冊です。

9/10月のメンバーお勧め本

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アコさんおすすめ
空中庭園 角田光代著 文春文庫

都会で暮らす家族、京橋家の人々。
「何ごともつつみ隠さず」が家族のルール。
ですが、それぞれが大きな秘密、闇を抱えて共に集い、
家族行事を楽しげに遂行しているだけなのです。
その姿を6人の語り手にゆだね、
透明感を携えながら、淡々と軽妙に描き出していきます。
本当の闇を話すこともなく、家続が崩壊することもありません。
傍目からは幸せそうに見える現代の家族の姿が
リアルに迫ってきます。


9/10月のメンバーお勧め本

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手毬オススメ  
チェルノブイリの祈り スベトラーナ・アレクシエービッチ著 岩波書店

2015年、本年度のノーベル文学賞受賞の著者。
『戦争は女の顔をしていない』など、常 に国家の圧迫に抗い、
世界に向けて危機を発信続けておられます。
本作は、チェルノブイリ周辺に暮らす人びとの声を丹念に取材したルポタージュです。
一度は読んでおかなければならない 本だと、わたしは思います。

1986年、四半世紀前、チェルノブイリで大惨事が起りました。
当時、わたしはあの体制の国だから事故がおきてしまったのだ、
そう思ってやり過ごしてしまいました。 とても悔いています。
冒頭に「これは未来への話です」から始まります。
ページをめ くると、国境を越え時間をまたぎ、今現在の日本が現れました。
ぞっとするほど似ているのです。
原発事故直後、本書をすぐに読みました。
あれから4年過ぎました。(2015年)
何も変わらず終結もしないまま 人々は忘れようとしています。

消防員の妻が語る最初の章、とても美しい夫婦愛の話です。
フィクションならば、泣いて本を閉じることができます。
でも、真実であるがゆえ、恐ろしく、悲しすぎます。
ページを開けたまま、しばし未来を思います。
わたしたちはどうして、悲劇に学ぶことができないのだろうと。

9/10月のメンバーお勧め本

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手毬オススメ
オオカミの護符 小倉美恵子著 新潮文庫

経済成長で変貌を続ける街の姿に、大切なものを置き去りにしてきたのではと
思われた著者は、実家に貼ってある「オイヌさま」を描いた1枚の護符に
目を留めます。その護符を手がかりに、山岳信仰を調べ始めました。
そこには、山で暮らす百姓たちの守り神としてオオカミを祀る信仰が
古くから息づいていました。
歴史と史実を照らし合わせ、「オオカミの護符」を紐解いていきます。

偶然、お昼のテレビ番組でこの神社が紹介されていました。
犬と一緒に参拝できるとの紹介で、ペットブームに照らし合わせた明るい雰囲気でした。
実はちょっと怖い話を違う本で読んだのです。
この護符を受け取る際に「オモテ」と「ウラ」があると言います。
普通は「オモテ」で、よほどの覚悟がない限り「ウラ」を望んではいけません。
「ウラ」の護符を受け取ると、持ち帰る際、決して後ろ振り返ってはならないのです。
受け取った人は、ヒタヒタと付いてくる気配を感じながら家路へと急ぎます。
そんなお話しでした。
ですから、真摯に山岳信仰に取り組んだ本書に少し安堵しました。

2015年10月29日 (木)

8月のメンバーお勧め本2

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エンゾさんおすすめ
プリンセス・トヨトミ 万城目学著 文春文庫

東京から来た会計検査院の調査員三人が、
大阪を全停止にする秘密を解き明かす、とくればすでにハチャメチャな万城目ワールド
の出現。テンポよく結末まで飽きさせず読ませてくれる。
題名のプリンセスは重要か?と思ってしまうが、案外ほっこりの結末に満足。
映画になっているので、観てから読むか、読んでから観るか、悩むところ。
楽しめるエンターテイメント作品に仕上がっている。

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コミチさんおすすめ
 金色夜叉 尾崎紅葉著 春陽堂

「熱海の海岸散歩する貫一お宮の二人連れ~」という歌で有名な『金色夜叉』の筋書きは
美しい宮が貧乏学生貫一を捨てて、銀行家の富山の嫁ぐという物語。
俗世間では『お宮と貫一の仲を裂く、富山憎し」となっているようです。
しかし、読んでみると、この三人が「金色夜叉」で「愛」を知るのではないようです。
この二つのキーワードを考えながら、お読みになってください。

こちらは春陽堂出版の『金色夜叉』全、中、後、続、続々編と5冊あります。
春陽堂は歴史ある小さな出版会社です。挿絵も綺麗で大切にしたい本です。
新潮文庫にもなっていますし、無料の青空文庫でも読むことができます。
           

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